1. 永住者

 「永住者」の在留資格は、「法務大臣が永住を認めるも者」と規定されているもので、その後の生涯を日本に生活の本拠を置いて過ごす者が規定されています。
 高度人材などの政策的に日本への入国・在留を促進すべき外国人へのインセンティブとして、永住許可をすることも行われています。

 永住者の資格を持って在留する者は、在留活動に制限はなく、在留期間にも制限がないことから、永住許可に係る審査はいわば入管としてはその外国人の在留に関する最終の審査になることから、適切に行われる必要があります。いうまでもなく、在留資格の取消しの対象であり、過去強制事由に続き在留状況を把握し、適切な管理を行う対象となります。

⑴ 永住許可の要件

在留資格「永住者」を取得するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

1.素行善良である
2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
3.その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

① 素行善良である

法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
「永住許可に関するガイドライン:出入国在留管理庁」

入管法違反、交通法違反などの法令違反がなく、日本の法律を守って生活できることが必要です。刑法にかかわる事件以外にも、スピード違反や駐車違反など繰り返し法令違反を犯している場合は、不許可の可能性が高くなります。

② 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
「永住許可に関するガイドライン:出入国在留管理庁」

【独立の生計を営むに足りる〜】とは、永住申請をする本人の収入のほかに、配偶者や家族など、世帯全体での収入または所有資産によって経済活動ができているかどうかという基準になります。ただし、申請者が就労ビザの場合は、申請者本人の収入のみで審査されます。

【技能を有すること】とは、日本で生活するために一定のスキルを生かして働くことができているかどうかという基準になります。

永住許可申請の必要書類には、預金残高証明書、在職証明書、課税証明書(所得証明書)など、申請者本人の収入を証明できることが求められます。

③ その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

  1. 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
  2. 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
  3. 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
  4. 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。  
    ※ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には1.及び2.に適合することを要しない。また、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けている者の場合には2.に適合することを要しない。「永住許可に関するガイドライン:出入国在留管理庁」
  5. 原則、引き続き10 年以上日本に在留していること。この10年間のうち、就労資格または居住資格によって引き続き5年以上の在留期間が必要です。
    ※この5年間には、在留資格「留学」「技能実習」「特定技能1号」は除外されます。
  6. 公的義務や在留資格の更新など、法令に従って対応できていることが必要です。
    ※税金の滞納や在留資格の期限切れなどに要注意です。
  7. 在留資格の最長の在留期間については、2017年7月「新しい在留管理制度」により最長3年であったのが、最長5年に改定されています。
  8. 感染症予防を行い、不衛生な生活などで地域住民や職場などで迷惑になっていないことが基準です。周りに有害となる行為をせずに適切な対応ができることが必要です。

※永住要件の10 年以上日本に在留していることについては、特例として10年以上在留していなくても緩和されるケースがあります。

⑵ 特別永住者・帰化との違い

続いて、永住者とよく間違えやすい「特別永住者」と「帰化」との違いを確認しましょう。

① 特別永住者

特別永住者とは、1991年11月1日に施行された「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」に定められた在留資格を持つ外国人のことです。特別永住者の対象は、日本が第二次世界大戦で敗戦した際にサンフランシスコ平和条約により、日本国籍を失った人たちです。主に、韓国人、朝鮮人、台湾人が取得している在留資格です。また、特別永住者の子孫や、両親のどちらかが特別永住者である場合は、特別永住許可を申請できます。なお、特別永住者は、在留カードの交付はなく、特別永住者証明書が交付されます。

② 帰化

帰化とは、外国人が日本国籍を取得することです。帰化許可後は日本人として生活できるようになります。帰化の場合は、主に以下の内容ができるようになります。

・日本の戸籍が作れる
・日本国籍になるので在留資格が不要になる
・母国への退去強制がなくなり日本国内での所轄になる
・参政権が持てる
・日本のパスポートになる

一方、永住者は、国籍を変えずに「永住者」の在留資格を取得することです。日本では二重国籍が認められていないため、帰化する場合は元の国籍を手放すことになり、永住者は国籍の変更は不要です。

⑶ 永住者のメリット

① 在留期限が無制限になる

外国人が日本に在留するには、在留資格の更新手続きが必要ですが、永住者の場合は、在留期限が無制限なので、頻繁な更新手続きが不要になります。従って、在留資格の更新を忘れることもなくオーバーステイになるリスクも減ります。ただし、在留カードの更新手続きは7年に一度行う必要があるため、忘れずに対応しましょう。

② 日本での活動内容に制限がなくなる

他の在留資格の場合は、就労制限があるため従事できない仕事もあります。永住者の場合は就労制限がないので、職業の選択は自由です。就労制限がないため、日本での経済活動もしやすくなります。

③ 社会的信用度が高くなる

外国人の場合は、住宅や自動車のローンが組みにくいケースもありますが、永住者になると信用度も高くなるので、ローンも組みやすくなります。また、金融機関からの融資を受ける際に審査が通りやすくなります。

④ 配偶者の就労制限がなくなる

永住者の配偶者は、在留資格「永住者の配偶者等」を取得できます。この在留資格は、永住者と同じように、日本での活動に制限がないため、自由に働いたり生活したりすることができます。外国人夫婦のどちらかが永住者の場合、配偶者にもメリットがあります。

⑤ 離婚してもそのまま在留できる

永住者の場合、日本人の配偶者と離婚や死別で関係がなくなっても、そのまま永住者として日本に在留することができます。例えば、在留資格「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者と離婚・死別した場合、他の在留資格への変更または帰国する必要があります。

⑥ 在留特別許可を受けやすい

在留特別許可は、強制退去の対象となる外国人が法務大臣の特別許可で日本に在留が認められる制度です。永住者の場合は、他の在留資格よりも厳しい条件をクリアして滞在できている外国人であるため、退去強制のリスクが低くなり在留特別許可を受けやすい傾向です。

⑷ 永住許可が緩和されるケース

「原則として引き続き10年以上本邦に在留していること」この要件が緩和されるケースは、以下の対象者が該当します。

  • 日本人、永住者、特別永住者の配偶者:実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。その実子等の場合は1年以上日本に継続して在留していること ・定住者:5年以上継続して日本に在留していること
  • 難民:難民認定後、5年以上継続して日本に在留していること
  • 高度専門の外国人:外交、社会、経済、文化等の分野で我が国への貢献があると認められる者で、5年以上日本に在留していること

⑸ 永住許可申請の流れ

在留資格「永住者」を取得する場合は、出入国在留管理庁へ永住許可申請を行います。

永住許可の申請書を作成して必要書類を添付して申請手続きをします。

審査期間について、出入国在留管理庁のホームページでは、審査の標準処理期間4カ月となっています。実際にかかる期間は、入管の申請者数や混み具合、書類不備などによって6カ月以上かかる人もいます。審査結果については、入管よりメールまたはハガキで通知が届きます。永住許可となった場合は、新しい「永住者」の在留カードの発行手続きを行い、不許可の場合は簡易書留で通知が届きます。

■永住許可申請の必要書類

永住許可申請に必要な書類は以下の通りです。

・永住許可申請書 1通
・写真(縦4cm×横3cm)1枚
・身分関係を証明する次のいずれかの資料

①申請人の方が日本人の配偶者である場合

配偶者の方の戸籍謄本(全部事項証明書)1通

②申請人の方が日本人の子である場合

日本人親の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通

③申請人の方が永住者の配偶者である場合

次のいずれかで、婚姻関係を証明するもの

a.配偶者との婚姻証明書 1通
b.上記aに準ずる文書(申請人と配偶者の方との身分関係を証するもの) 適宜

④申請人の方が永住者又は特別永住者の子である場合

次のいずれかで、親子関係を証明するもの

a.出生証明書 1通 b.上記aに準ずる文書(申請人と永住者又は特別永住者との身分関係を証するもの) 適宜

・申請人を含む家族全員(世帯)の住民票 1通
・申請人又は申請人を扶養する方の職業を証明する次のいずれかの資料

⑤会社等に勤務している場合

在職証明書 1通

⑥自営業等である場合

確定申告書控えの写し 1通
営業許可書の写し(ある場合)1通

⑦その他の場合

職業に係る説明書(書式自由)及びその立証資料 適宜
・直近(過去3年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料

⑹ 永住者を雇用する際の注意点

永住者は、就労制限はありませんが、会社で雇用する際は、他の在留資格の外国人と同様に「外国人雇用状況の届出」が必要になります。

また、永住者であっても法令違反に該当する場合は、在留資格の取り消しの対象となります。従って、永住者だから100%安心ということはないため、外国人の行動については管理が必要になります。

なお、外国人社員が海外出張や転勤などで出国する場合は、いったん在留資格を返納する手続きが必要になります。この場合、在留期間がリセットされるため、永住許可の要件となる10年以上の在留にカウントされなくなります。

2. 日本人の配偶者等

日本人と結婚した外国人や、外国人と日本人の間に生まれた子、日本人の特別養子になった子が取得できる在留資格。それが、在留資格「日本人の配偶者等」です。

在留資格「日本人の配偶者等」の、在留資格「家族滞在」と異なっている点は、必ずしも日本人の扶養を受ける必要がないということです。つまり、夫婦の外国人側の方が生計を立てて暮らしていくことができます。
ただし、日本で生活を継続できるくらいの経済的安定は求められますので、夫婦ともに無職である場合は、在留資格の許可申請が通らなくなるでしょう。

活動内容:就労できる仕事の種類や、学校などに関する制限は特にありません。会社経営を行うことも可能です。
ただし、日本人の配偶者として在留資格を取得している場合、離婚または死別した場合は、在留資格の更新ができなくなってしまうので注意が必要です。

在留期間:5年、3年、1年、6ヶ月のいずれか
在留期間は、申請書に記入する「滞在予定期間」や「希望する在留期間」の内容、また、配偶者の場合、配偶者との婚姻期間、安定性などにより、出入国在留管理局が総合的な審査を行った上で決められます。
つまり、申請者が希望する在留期間の許可が下りるというわけではありません。

⑴ 取得要件

「日本人の配偶者ビザ」を取得できるのは、以下のいずれかに該当する方です。
・日本人の配偶者
・日本人の子として出生した人
・日本人の特別養子

① 日本人の配偶者が申請する場合

日本人の配偶者が申請をするには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

■ 日本人と婚姻関係にあること
申請する時点で、日本人と婚姻関係にあることが必要です。
婚約や事実婚、離婚、死別した場合は該当しません。
また、夫・妻のどちらでも申請が可能です。
※原則として、同居するなどの婚姻の実態も要件として求められます。

■ 日本で生活するための生計が立てられること
日本での生活を継続できるほどの生計を立てられることが要件です。
必ずしも、日本人が扶養者である必要はありません。
家庭の事情により、外国人本人が扶養者となることも認められます。
夫婦の収入、貯蓄など、継続して生計を立てられるかどうかが、審査における重要なポイントとされています。

②日本人の子が申請する場合

日本人の子として申請をする場合は、以下の2つの要件を満たす必要があります。

■ 日本人の実子であること
申請人本人の出生時に、父母のどちらかが日本国籍を有していることが要件とされています。
また、申請人本人の出生時に、父母のどちらかが日本国籍を有していたが、その後日本国籍を離脱した場合でも、要件の該当者となります。
しかし、本人の出生後に、父母のどちらかが帰化などにより日本国籍を取得した場合には、該当者として認められません。

■ 日本で生活するための生計が立てられること
未成年などで扶養を受ける場合は、扶養者によって扶養を受けて生活できることが要件とされます。
成人しており扶養を受けない場合は、独立して生計を立て、日本で生活していけることを証明する必要があります。

③日本人の特別養子が申請する場合

■ 日本人の特別養子であること
日本の養子縁組制度には、「普通養子」と「特別養子」があります。
「日本人の配偶者等」のビザの申請にあたっては、日本人の「特別養子」であることが必要です。
「普通養子」の場合は、該当しません。
※「特別養子」とは、養子が戸籍上も実親との親子関係を断ち切り、養親が養子を実子と同じ扱いとし、原則6歳未満で行う養子縁組のことをいいます。

■ 扶養を受けて生活していること
「特別養子」は、原則6歳未満で行われる養子縁組ですので、日本で生活していくには養親から扶養を受ける必要があります。また、その扶養者に十分な扶養能力があることも重要な審査基準とされます。

⑵ 注意すべきポイント

① 結婚の事実を証明する

申請時に、2人の交際歴を証明するような資料などを提出しておき、婚姻関係が事実であることを証明できるようにしておくことをおすすめします。

「日本人の配偶者等ビザ」の申請は、偽装による申請が多いため、審査が厳しくなっています。そのため、入国管理局が案内している書類を提出するだけでは、審査が通らない場合があります。
日本に滞在すべく円滑に許可を得るためには、自分たちの結婚が事実であることを証明する必要があります。

② 離婚協議中に、在留期限が迫っている場合

「日本人の配偶者等」の在留資格を持っている外国人の方が、日本人配偶者と離婚すると、在留資格の更新ができなくなってしまいます。

まだ離婚協議中であり離婚が成立していない場合は、理由を説明することなどにより「日本人の配偶者等」の在留資格を更新できる可能性があります。

離婚して更新できない場合は「定住者」の可能性を検討

日本人との離婚が成立すると、「日本人の配偶者等」の在留資格は更新できなくなります。

夫婦間に未成年の子どもがいて扶養をする必要がある、長年日本に住んでおり日本の生活に慣れているなどの理由で、引き続き日本への滞在を希望される場合は、「定住者」という在留資格へ変更できる可能性があります。
「定住者」への変更が許可されるかどうかは、元配偶者との婚姻期間や離婚理由、子どもの扶養の有無、日本での滞在期間などによります。

⑶ 申請に必要な書類

申請人の立場により、申請に必要な書類の内容が異なります。

【1】 外国人(申請人)の方が日本人の配偶者(夫または妻)である場合

  1. 在留資格認定証明書交付申請書 1通
  2. 写真 1枚
  3. 配偶者(日本人)の方の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通
    申請人との婚姻事実の記載があるものを提出します。
    婚姻事実の記載がない場合には、戸籍謄本に加え婚姻届出受理証明書の提出をします。
  4. 申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書 1通
    申請人が韓国籍等で戸籍謄本が発行する場合は、お二方の婚姻が記載された外国機関発行の戸籍謄本の提出でも差し支えありません。
  5. 日本での滞在費用を証明する資料
  6. 申請人の滞在費用を支弁する方の直近1年分の住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書(1年間の総所得および納税状況が記載されたもの) 各1通
    ※ 1月1日現在お住まいの市区町村の区役所・市役所・役場から発行されます。
    ※ 1年間の総所得および納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば、いずれか一方でかまいません。
  7. 配偶者(日本人)の身元保証書 1通
    以下のURLからダウンロード可能です。
    https://www.moj.go.jp/isa/content/001373949.pdf 【日本語】https://www.moj.go.jp/isa/content/001373950.pdf 【英語】
  8. 配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し 1通
    個人番号(マイナンバー)については省略し、他の事項については省略せずに提出します。
  9. 質問書 1通
    以下の出入国在留管理庁のホームページより、日本語以外の質問書もダウンロードできます。https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/spouseorchildofjapanese01.html
  10. 夫婦間の交流が確認できる資料
    a. スナップ写真(お二人で写っており、容姿がはっきりと確認できるもの。アプリ加工したものは不可。) 2~3葉
    b. その他(以下で提出できるもの)
    c. SNS記録
    d. 通話記録
  11. 返信用封筒 1通

【2】 外国人(申請人)の方が日本人の実子・特別養子である場合

  1. 在留資格認定証明書交付申請書 1通
    https://www.moj.go.jp/isa/content/930004054.pdf
  2. 写真 1枚
  3. 申請人の親の戸籍謄本または除籍謄本(全部事項証明書) 1通
  4. 日本で出生した場合は次のいずれかの文書 1通
    (1) 出生届受理証明書
    (2) 認知届受理証明書
    ※発行日から3ヶ月以内のもの。
    ※(2)については、日本の役所に届出をしている場合にのみ提出します。
  5. 海外で出生した場合は次のいずれかの文書 1通
    (1) 出生国の機関から発行された出生証明書
    (2) 出生国の機関から発行された申請人の認知に係る証明書(認知に係る証明書がある方のみ)
  6. 特別養子の場合は次のいずれかの文書 1通
    (1) 特別養子縁組届出受理証明書
    (2) 日本の家庭裁判所発行の養子縁組に係る審判書謄本および確定証明書
  7. 日本での滞在費用を証明する資料
    (1) 申請人の滞在費用を支弁する方(複数の方が扶養する場合は収入の多い方)の直近1年分の住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書(1年間の総所得および納税状況が記載されたもの) 各1通
    ※1月1日時点に住んでいる市区町村の区役所・市役所・役場から発行されます。
    ※1年間の総所得および納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば、いずれか一方でかまいません。

    (2) その他
    入国後間もない場合や転居等により(1)の資料で滞在費用を証明できない場合は、以下の資料などを提出します。
    a. 預貯金通帳の写し 適宜
    Web通帳の画面の写し等(取引履歴が分かるもの)の提出も可能です。ただし、加工等できない状態で印刷されたものに限ります(Excelファイル等は不可)。
    b. 雇用予定証明書又は採用内定通知書(日本の会社発行のもの) 適宜
    c. 上記に準ずるもの 適宜
  8. 返信用封筒 1通
  9. 配偶者(日本人)の身元保証書 1通
    身元保証人には、日本に居住する日本人(子の親または養親)等が該当します。
    身元保証書は、以下のURLからダウンロードできます。https://www.moj.go.jp/isa/content/001373949.pdf

3. 永住者の配偶者等

⑴対象者

永住者または特別永住者の配偶者、子どもが対象となります。

①配偶者

配偶者とは法的に婚姻関係中の人を言い、内縁関係の人は含まれません。日本は同性婚を認めていないので、同性婚の相手も配偶者には含まれないことになります。
婚姻関係には実体が伴っている必要があり、表面的に婚姻手続きをしただけの場合や、偽装結婚などは当然認められません。

②子ども

子どもには、嫡出子だけでなく非嫡出子も含まれますが、養子は含まれません。
嫡出子:婚姻関係にある男女間に生まれた子ども
非嫡出子:婚姻関係のない男女間に生まれた子ども

子どもが生まれる時に両親のどちらかが「永住者」の在留資格をもって日本に在留していれば、その子は「永住者の配偶者等」の在留資格に該当します。

場所として日本で生まれていることが必要で、両親が「永住者」であっても外国で生まれた場合は「永住者の配偶者等」の在留資格を取得することができません。

※永住者の子どもとして日本で出生した場合、子どもも永住者の在留資格を取得することができます。これは、永住者の両親の在留状況に問題がなく、一定の要件を満たしている場合です。
両親の素行が悪い場合や、申請期限を過ぎて永住申請を行った場合などは、永住許可がおりず「永住者の配偶者等」の在留資格が許可される可能性が高くなります。

③在留期間

6月、1年、3年、5年の中のどれかが与えられることになります。基本的に最初は「1年」の許可が与えられ、何度が更新した後「3年」の許可が与えられます。

在留資格の更新時、永住者である配偶者と離婚調停や訴訟が継続している等の理由がある場合は「6月」で許可が出ることがあります。なお、「永住者の配偶者」から永住許可申請をするためには、最低でも「3年」の在留期間が必要となります。

④就労活動制限

特にありません。法律に違反しない限りどんな職業につこうが、何時間働こうが自由です。

⑤在留要件が緩和される

就労系ビザを持つ外国人は、通常10年以上日本に在留していなければ永住許可申請をすることはできません。
一方「永住者の配偶者等」に該当すれば、要件が緩和されます。

⑥永住者の配偶者の場合

実態を伴った婚姻が3年以上継続し、引続き1年以上日本に在留していることで永住申請をすることができます。

【配偶者ビザと永住権】その違いから取得方法まで専門家が徹底解説これから配偶者ビザの取得を検討している人や、もうすでにビザを持って日本に在留している人の多くは、将来的に永住権を望んでいます。今回は、日本の配偶者ビザと永住権の関係に着目し、その違いや永住権取得のメリット、また配偶者ビザから永住権を取得するために必要なことをわかりやすく解説していきます。...

⑦永住者の子どもの場合

引き続き1年以上日本に在留していれば永住申請をすることができます。

※もしも「永住者の配偶者等」の在留資格を持っていなかったとしても、それを持っているとみなされて在留要件が緩和されることがあります。

たとえばこんなケースです。
・夫 「技術・人文知識・国際業務」で日本滞在中
・妻 「家族滞在」として日本滞在中

家族滞在ビザを持つ外国人は、通常単独で永住許可をされることはありません。

しかし、夫が永住許可の要件を満たしている場合、妻も以前から「永住者の配偶者等」の在留資格を持っていたとみなしてもらえます。

結果、家族滞在の妻も実態を伴った婚姻が3年以上継続し、引続き1年以上日本に在留していることで永住申請をすることができます。
この場合、永住許可申請は家族そろって申請するのがオススメです。

⑵永住者の配偶者等から永住者に変更するメリット

在留資格の中でも自由度が高い「永住者の配偶者等」ですが、永住者に変更するとさらにメリットがあります。

①在留期間が無期限になる

以前は、在留資格の更新手続きを忘れた場合オーバーステイとなり、最悪退去強制(強制送還)のリスクもありましたが、永住権を取ってしまえばそんなリスクはなくなります。

在留期間は無期限なので、更新手続きはいりません。
これは日本に住む外国人にとって最大のメリットです。
ただし、在留カードの更新はいままで通り必要なので忘れずに。

②ステータスの変化で在留資格を失うことはない

「永住者の配偶者等」の在留資格を持っている場合、配偶者との離婚や死別などの状況の変化が原因で、在留資格の変更を迫られます。
このような変化は、自らコントロールすることが難しいにもかかわらず、万が一起こると外国人を極めて不安定な立場に立たたせるものです。
永住権は一度取得してしまえば、離婚や死別などのステータスの変化では在留資格の変更を迫られる

4. 定住者

定住者は、特定の国からの難民や日系の方など、人道上の特別な理由がある場合に認められる身分系在留資格です。定住者には留学生や就労系の在留資格のような「就労制限」はありませんが、他の多くの在留資格と同じように一定の有効期間(5年、3年、1年、6ヶ月、その他法務大臣が指定する期間)が設定されています。

⑴対象となる外国人

定住者には、定住者告示によって対象者が指定される「告示定住者」と、活動の内容を個別に審査・判断して在留資格が決定される「告示外定住者」の二種類があります。

このうち告示定住者に該当するのは、以下の人たちです(出入国在留管理庁「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件(平成2年法務省告示第132号)」より)。

1号:インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、スリランカ、タイ、大韓民国、中華人民共和国、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、東ティモール、フィリピン、ブータン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、モルディブ、モンゴル、ラオスに一時滞在する難民
2号:(削除)
3号:日系2世・3世(3世については、日系1世が日本国籍離脱前に生まれた2世の子供であること)
4号:日系3世(日系1世が日本国籍を離脱した後に生まれた2世の子供)
5号:日系2世の配偶者・日系3世の配偶者・その他定住者(在留期間一年以上)の配偶者
6号:帰化した外国人、永住者、日系2世、日系3世、定住者(在留期間一年以上)の扶養を受ける子供等(各種条件あり)
7号:日本人、永住者、定住者(在留期間一年以上)の扶養を受ける6歳未満の養子
8号:中国に残留した日本人とその親族(各種条件あり)

一方、告示外定住者のパターンはさまざまです。たとえば「日本人の配偶者」や「永住者の配偶者」の在留資格で日本に住んでいた方で、配偶者と離婚・死別した方の場合、婚姻実績や現在の状況次第では定住者として認められるケースがあります。

⑵定住者と永住者の違い

定住者と同じ身分系の在留資格に「永住者」があります。永住者とは一定期間(原則10年以上)日本に在留している外国人のうち、素行が善良、納税義務を果たしている、自立して生計を立てられる、といった条件を満たす人が対象で、定住者のような特別な事情は、特に求められていません。

⑶定住者と永住者の共通点

就労活動の制限がない在留カードの携行義務と提示義務がある
1. 一時出国する場合は再入国許可が必要
2. 退去強制処分の可能性がある
3. 参政権がない

定住者と永住者の相違点
1. 定住者は在留期間の制限がある(5年、3年、1年、6ヶ月、その他法務大臣が指定する期間)
2. 永住者には在留期間の制限がない(ただし在留カードは定期的に更新が必要)

⑷申請必要書類

■申請書
申請の時点で日本の在留資格を持っていない外国人→「在留資格認定証明書交付申請書」
申請の時点で日本の在留資格を持っている外国人→「在留資格変更許可申請書」
■添付書類
身分や現在の状況など、定住者の対象であることを証明する書類等。その他、身元保証書や質問書なども必要です。
■写真(3ヶ月以内に撮影したもの)
■返信用の封筒(在留資格認定証明書交付申請の場合)、ハガキ(在留資格変更許可申請の場合)など

⑸在留資格が認められるポイント

定住者の在留資格が認められるかどうかは、提出された資料に基づき総合的に判断されます。この際に特に重視されるポイントとして挙げられるのは、
記載内容に矛盾がないこと
1. 添付された証明書類が正規のものであること(偽造や変造でないこと)
2. 素行が善良であること
3. 生計を維持できる収入があること
4. (配偶者の身分の場合)婚姻の実態があること
5. (告示外定住者の場合)日常生活に不自由しない程度の日本語能力があること
6. (日本人の実子を監護・養育している場合)相当期間にわたる監護・養育の事実があること

⑹定住者から永住者になるには?

定住者から永住者になるための条件は、他の在留資格から永住者に移行する場合の条件と基本的に変わりません。ここでは、特に重視される条件やポイントについて説明します。

①素行が善良であること

素行が善良であるとは、律違反や犯罪行為によって処罰されていないことです。具体的には「法令違反によって懲役・禁錮・罰金に処せられていない」ことが求められます。

なお犯罪行為による処罰経歴がなくても、日常生活や社会生活の中で違法行為・迷惑行為などを繰り返している場合は素行善良とは認められません。

②独立生計が立てられること

独立生計が立てられるとは、安定した生活を継続できる程度の収入があることです。具体的には家族構成や生活地域、世帯収入などから総合的に判断されますが、一般には「生活保護を受けていないこと」と「年収が250〜300万円程度以上であること」がひとつの目安となります。

なお本人が生活保護を受けていなくても、直系血族や兄弟姉妹が生活保護を受けている場合は「(民法に規定される)親族の扶養義務を果たしていない」とみなされ、審査に悪影響を与える可能性があるため注意が必要です。

③日本の国益に適合すること

日本の国益に適合するとは、主に以下の要件を満たすことです。
1. 定住者として引き続き5年以上日本に在留していること(定住者以外については10年が条件)
2. 納税義務を果たし、法律を遵守していること(健康保険や国民年金も含まれます)
3. 在留資格の最長の在留期間で在留していること(本来は5年だが、実務上は3年でも認められる)
4. 公衆衛生の観点から有害となるおそれがないこと(感染症や薬物の慢性中毒がないこと)