ポーカーバーを開きたい
最近流行りのポーカーバー。
「自分でもポーカースポットを作りたい」「飲食店をポーカーバーへ改装したい」と思っている方も多いと思います。
ここでは、ポーカーバーを開店するために必要な知識と手続きについて解説します。
1. ポーカーバーを開くには営業許可が必要?
仲間内だけで遊ぶなら問題ありませんが、ポーカー台を置いてい営業する場合、警察署に営業許可申請し、公安委員会の許可が必要です。
そうは言っても、既に営業している飲食店の空いているスペースにポーカー台置くだけだし・・・
飲食料金はいただくけど、ポーカーでお金は取らないし・・・
それでも営業許可は必要です!
警察からしてみれば、「本当にポーカーでお金貰ってないの?」「警察に届け出てない理由は?」「仲間内で賭け事やってるんじゃないの?」となるわけです。
ポーカー台を置く場合は風俗営業の第五号営業に該当し、ゲームセンターと同じ営業許可が必要です。
飲食を提供するなら、飲食営業許可も必要になります。
2. 定款の変更が必要かも
既に会社を持ち飲食店等を経営している方が、飲食店にポーカー台を置く場合は会社定款の変更が必要かもしれません。
会社を設立する時に、必ず会社のルール等を記した定款を作成しなくてはならなく、
そこには絶対的記載事項のひとつとして事業内容が記載してあります。
そして、風俗営業5号の許可を取るためには、事業内容に風俗営業5号に関する記述がなければなく、
(例えば、「風俗営業5号に規定する営業」「ゲームセンター等遊技施設を備えた施設の運営」などの文言)
それが無い場合はまずは、定款変更登記が必要になります。
変更登記には3万円の料金と約2週間の期間がかかるので、覚えておきましょう。
結構手間のかかる定款変更登記
定款の事業内容変更に「風俗営業5号」に関する記載がないなら、事業目的を変更するために、法務局で変更登記しなければなりません。
申請書には株主総会議事録と株主リストを添付します。
株主総会議事録と株主リストを作成した人がどれくらいいるでしょうか?
恐らく多くの方が ”そんなもん知らん!” でしょうね。
株主総会議事録と株主リストは決まった書式があり、それに従って作成されてないと補正を求められることになります。
専門家であれば、問題ないのでしょうが、今までにやったことがない方がやろうとすると、思った以上に苦労するでしょう。
専門家に依頼するなら特に問題ありませんが、自分で変更登記をするなら、思ったより苦労するかもしれません。
ワンポイント
定款変更には法務局へ登録免許税3万円を支払わなければなりません。会社設立の段階で、既に風営法許可が必要であることが予想される場合は、事業目的に風営法に関する項目を記載しておくことをお勧めします。
定款の事業目的には、実際に営業しなくても、将来に可能性のある事業も記載することができるので、今すぐにはやらなくても、将来ポーカーバーをやるつもりなら、会社設立段階で事業目的の項目に風俗営業5号に関する項目を記載しておくと、将来、定款を変更しなくても済みます。
しかし、金融機関から融資を受ける場合、金融機関は必ず、法人登記簿の提出を求めてきます。この時、事業目的の項目に風営法に関する記述があると、金融機関は融資に難色を示します。必ずしも融資が受けられないわけではありませんが、かなり難しいということは理解しておくとよいでしょう。
3. 風俗営業許可には周辺調査が必要
ポーカーバーを開こうと決意した貴方、これから物件を探す方、すでに物件をお持ちの方、忘れてはいけないのが周辺調査!
風営法の営業許可を取得するには、物件の場所は非常に重要です。
該当物件の半径100m以内に保全対象施設があると、どんなにいい物件でも許可が得られません。
※保全対象施設:学校、図書館、託児所、入床施設のある医療機関etc.
保全対象施設までの距離も、物件のある場所の用途地域によって変わりますし、そもそも、場所によっては風営法の許可が下りない地域もありますので、まずは入念な周辺調査から始めましょう。
調査は、現地に行って周辺の建物を一軒一軒見て回ります。
注意しないといけないのは、隣に風営法の営業許可のある店舗が営業していたとしても、自分の店舗が必ずしも大丈夫ではないという事。
店舗の場所がずれると半径100m以内の範囲もずれるし、また、隣の店舗ができたころは保全対象施設が無かったけど、その後できたという事もあるわけです。
該当店舗が商業地域にあり、近くに同じような店舗がある場合、確かに許可が取れる可能性は高いですが、周辺調査をおろそかにしてしまうと、後から痛い目を見るかもしれません。
4. 管理者を決めよう
風営法の許可を申請する事が決まったら、管理者を決めましょう。
(管理者:実際に現場に立って経営管理する人)
なぜなら経営者と管理者がそれぞれ書類を用意しないといけないからです。
用意する書類
1. 住民票
2. 身分証明書
免許証等の証明書ではなく、本籍地の役所で発行される証明書です。
本籍地と離れた所に住んでい方も多いと思いますが、郵送でも取得できるので、本籍地の役所に問い合わせてください。
3. 証明写真(3×2.4cm2枚・管理者のみ)
経営者が管理者を兼ねることもできます。
その場合は用意する書類は各1部で大丈夫です。
5. 必要書類
1. 申請書
2. 営業の方法
3. 料金表・システム表
4. 営業所周辺図
5. 営業所平面図
6. 営業所求積図
7. 各室求積図
8. 証明・音響設備図
9. 定款の写し
10. 履歴事項全部証明書
11. 家屋使用承諾書
12. 建物登記事項証明書
13. 住民票
14. 在留カードの写し
15. 身分証明書
16. 誓約書
17. 飲食店営業許可証の写し
18. 管理者顔写真
1. 申請書
申請書は、風営法の種類によって書式が異なります。ここでは5号のサンプルを載せています。
2. 営業の方法
営業の方法は、風営法の種類によって書式が異なります。ここでは5号のサンプルを載せています。
3. 料金表・システム表
飲食店を経営するなら飲食のメニュー表。
ポーカーを設置する場合は、ポーカーのプレイシステム表を作成して提出しなくてはなりません。
出来れば完成形のメニュー表がいいのですが、申請書と併せて提出した後でも差し替え可能です。
4. 営業所周辺図
半径100m以内に保全対象施設が無いか確認して、地図を作成しなければなりません。
5. 営業所平面図
図面に関しては、正直素人が作成するのはかなり難しいです。
まず店舗を実際に計測して、CADというソフトを使って作成するのですが、
広い店舗を計測するのにレーザー計測器を使用して、CADで作成するのは慣れていないと相当な時間がかかってしまうので、もし申請を自分でやる場合でも、図面作成は専門家に依頼することをお勧めします。
申請後に実際に、店舗へ浄化協会員が来店し、細かいチェックをしますが、彼らはレーザー計測器を持参して計測しますので、かなり精度の高い図面が必要です。
6. 営業所求積図
求積図は面積と面積の計算方法を記載します。
7. 客室求積図
客室のみの求積図も分けて作成します。
8. 証明・音響設備図
何処にどのような証明や音響設備が設置されているのかを記した図面です。
9. 定款の写し
法人が営業許可を申請する場合は定款の写しを添付しなければなりません。
警察が企業情報を調べたいというのもありますが、主に事業内容をチェックしています。
つまり、ポーカー台を置いて営業する場合は、事業内容に風俗営業5号に関する事業内容が
明記されているかをチェックしており、その文言が無いなら、定款を変更してから添付しなければなりません。
ワンポイント
提出する定款には奥書が必要です。
奥書とは、定款の末尾等に定款の写しが、原本と相違ないことを証明することで、以下を記入します。
- 「この定款の写しは、原本と相違ありません」等の文言
- 日付
- 住所
- 代表者の署名。押印
10. 履歴事項全部証明書
いわゆる登記簿謄本と言われるものです。
どこの法務局でも取得できます。
11. 家屋使用承諾書
物件のオーナーから当該物件を風俗営業に使用するための使用承諾書です。
物件の賃貸借契約書に当該物件を風俗営業に使用することの明記があれば、契約書でもよいのですが、
明記されてないのであれば、別途使用承諾書が必要です。
12. 建物登記事項証明書
いわゆる建物謄本ですが、これには建物の所有者情報などが載っており、どこの法務局でも取得できます。
申請書に建物の地番を記入するところがありますが、この地番は、一般に使われる住所とは異なります。
事前に法務局へ電話などで問い合わせ、当該住所の地番を確認する必要があるので、注意が必要です。
13. 住民票
経営者・管理者それぞれの住民票です。
14. 在留カードの写し
経営者・管理者が外国籍の場合は在留カード(表裏)の写しが必要。
15. 身分証明書
免許証やマイナンバーカードのような身分証ではなく、本籍地の役所が発行する身分証明書です。
本籍地に住んでいない方も多いと思いますが、郵送でも取得できるので、
郵送で取得する場合は、本籍地の役所に問い合わせてください。
16. 誓約書
経営者と管理者は、誓約書を提出しなければなりません。
風営法の種類によって誓約書の内容は多少異なりますが、下は一例です。
17. 飲食店営業許可証の写し
飲食店の経営をしているのであれば、飲食店営業許可証を添付します。
風俗営業許可を取得する店舗は、ほとんど飲食店を営業することが多いかと思いますが、
これから飲食店の営業許可を取るのであれば、風俗営業許可に先んじて飲食店営業許可を取得する必要があります。
18. 管理者顔写真
管理者の顔写真3×2.4cm 2枚
営業許可取得後に、A4サイズの許可証と運転免許証サイズの許可証が発行され、運転免許証サイズの許可証に使用されます。
6. 実地検査
いよいよ実地検査。風俗営業許可の山場です!
後日、予約した日時に浄化委員会と警察の人が複数人で来て、実際の店舗で検査をします。
- 面積は図面通りか(レーザー測定器で計測します。)
- 照明は図面通りの位置で、明るさは規定に沿っているか
- テーブル、イス等は図面通りの物が、図面通りの場所に置いてあるか
- 規定に沿っていない遮蔽物はないか
- 表示義務のある掲示物は、きちんと掲示しているか
- 備え付け義務のある書類は、きちんと備え付けてあるか etc.
上記項目などを検査した上で、風俗営業に関する注意事項などの説明があります。
7. 申請から許可までの期間
風俗営業許可を申請してどれくらいの期間かかるのでしょうか?
行政機関には標準処理期間というものがあり東京都の風営法に関する標準処理期間が55営業日とされています。(俗にいう55日ルールです。)
(標準処理期間)
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分 をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該 申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関 の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な 期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出 先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておか なければならない。
行政手続法第6条
勘違いしないでいただきたいのは、55日ではなく55営業日だという事!祝日が多い時に申請すればそれだけ期間も長くなります。
実際は55営業日よりも早く許可が下りる場合が多いですが、期待し過ぎは禁物です!
ちなみに、申請書提出後に補正や資料差し替えなどがあった場合はどうなるの?
と疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、結論55日ルールは継続します。
つまり、補正などがあっても、そこから改めて55日ルールがスタートするわけではありません。
ただ、55営業日直前で補正等が入れば、その手続きが終わるまで許可は下りませんので、この場合は55営業日を超えてしまうことになります。
8. まとめ
これまでご覧いただきましたが、風俗営業許可はとにかく作成する書類、集める書類が多く、地図や図面も提出しなければなりません。
また、都道府県・管轄警察署によって提出書類や規定に若干の違いがあり、他の管轄で営業しているケースが参考にならない場合がありますので、管轄の警察への確認が重要です。
専門家でも手間と時間がかかります。
多少の費用はかかりますが、それでも行政書士等の専門家に任せることをお勧めします。
何から手を付けていいか分からないという方も、北村とも行政書士事務所へご相談ください。初回相談料はいただきません。